●機関整備編
 
 そそくさと降ろしてしまったトランスミッションですが、こちらはJB32のミッション。もちろん、血の滲むような清掃作業後です。JA51のミッションと物々交換しました。が、それが後ほど面倒になります。JA51とJB32では5速のギヤ比のみが違うというのが諸元から判りますが、ケースの形状、シフトレバーが微妙に異なります。エンジン搭載にあたっては余計な加工を要し、なおかつレバーが無い状態・・・・・・そう、合うものだと踏んでレバーなしのまま交換してしまったのです。JB32の中古品はSJ20ほどでは無いにしろJA51と同じくらい出回っていませんので・・・現在流用できるものを探しています。こういった寄せ集め車を制作する場合、各年式の相違点や流用可能パーツのノウハウを如何に持っているかが勝負ですね。


 
 ボディ周りは比較的程度が良いのですが、下回りは全て真っ茶色です。とにかく錆と泥、油の塊を落としては黒く染める作業の連続です。


 
 続いて、トランスファー。これはJA71前期用のセンタードラム付きを頂いてきました。JB31やJB32で手軽にローギアヤード化する場合はSJ30後期やJA11、JA71後期といったモデルのトランスファーを、フランジ変換やシャフト交換などを行いつつ換装するわけですが、JA51の場合はJA71前期用でポンづけです。これにより街乗りでも元気な走りが可能になります。センターブレーキ付きですし!

 ギヤリングとしては トランスミッションの5速が0.795→0.864 トランスファーは H1.409→1.580 L2.268→2.511 になります。


 
 クラッチディスクの摩耗は少なかったのですが、カバーはレリーズベアリングの跡がクッキリついていますし、焼けた臭いと粉がムンムンでしたので、レリーズベアリングとあわせて総交換です。

 
 パイロットベアリングもゴロゴロしていましたので交換します。同時にしっかり油を抜いてエンジン本体に装着。細かいところではクランクエンドにつくノックピンも交換しました。

 
 あとは準備しておいたエンジン本体を搭載!SJ20と違ってミッションはマウント部で乗っているだけなので、積み込むのに難儀しました。ミッションを後方にズラしておいて、エンジンを正規の位置に吊ったまま角度調整して接合。まずミッションマウントを本締めしてからエンジンマウントを締めるという方法が一番早く、簡単だと思います。というかクラッチ交換等でミッションのみを降ろせるのは親切設計というか3点支持のマウント方法からいってもこれしか無いということですね。4点支持のSJ20の方が積み降ろしが楽です。しかしミッションやトランスファは非常に降ろしやすく設計されています。その点、エイトの方が大変。まぁどちらも慣れて手順を構築できていれば簡単なことですが・・・・


 今回エンジンベイに収まっているのはエスクードのG16Aエンジンです。こいつのスワップについては別頁に記載します。ヘッドカバーを開けてバルブクリアランス規正とカムシャフトおよび動弁系に新油をくれてやりました。普段は整備を他人に頼むようなことはないので、フィルムのように薄く塗られた液体ガスケットの膜やトルク管理のきちんとなされたボルトナット類、ネジ山にこびりつくカッパーグリースなどの「本物のプロの仕事」を眺めていると本当に楽しいです。

 
 ISCバルブも清掃しておきました!

 
●ブレーキオーバーホール
 エンジン関連に続いてブレーキのオーバーホールにも着手します。

 画像はジムニーJA11のマスターシリンダー&マスターバック。実はJA51はシリンダー内径か13/16なのですが、すぐ後に7/8に拡大されました。折角なので新しいブレーキにアップデートしてやろうと中古品を購入して再塗装と磨きを施しました。

 が・・・・・・・・・・・・

 なんとこのマスターバックはボディに合いません。バルクヘッドの穴径を拡大すれば装着はできますが、プレスでの折り返しを切削してしまうので強度を落としてまで装着したのでは改悪以外の何者でもありません。補強板を追加すれば良い話かもしれませんが、そういう手法は好きになれません。やるならJA11のパネルを移植して純正然とやりたい。


 
 そこで滋賀のハイロンサムさんに頼んでJA71のマスターシリンダとマスターバックを部品取り車から取り外しの後に送っていただきました。ジムニーのマスターバックって何故かこんなのばっかり・・・・・

 
 しかしJA71もある時期からマスターシリンダー内径を7/8に拡大していたようで、何とかシリンダー内径拡大に成功しました。

 
 マスターバックは錆取りと再塗装、マスターシリンダーはリペアキットを使ってオーバーホールしておきました。


 
 ただし、JA71含めて軽のジムニーでは配管取り出し位置が逆になります。よって配管を作りなおして対応していますが、インマニが張り出してきているのでむしろ好都合の位置関係になりました。因みにココの配管をディーラーに発注したところ、片方は製廃になっていました。新しいクルマをいじっている気持ちですが、昭和60年はもう昔なんですね・・・・・


 
 勿論、キャリパーもオーバーホールします。マニュアルではシリンダピストンをエアで抜けとありますが、廃車から切ってきたホースを使うと楽にできます。ビスを入れれば油止めにもなるので便利です。シール類だけでなく、スライドピンの固着やブールの破れもしっかり修理しておきます。


 
 ローターは要研磨でしたので、ストックのローターをサビ落とし&塗装して使用します。研磨すればまだまだ使えますので、元々のローターも大事にストックしておきます。


 
 リアブレーキもキモい事になっているのでオーバーホールします。漏れまくったお陰で、ドラムもシューも油ギットリです。


 
 シリンダの固着を解いて、ホーニングを実施しました。


 
 カップとブーツを交換して、まだ新品同様だったシューは油抜き、ドラムも同様に油を抜いて研磨しておきました。どうも過去の修理でシューやカップを交換しているようですが、その時にシリンダー内面に深いをつけてしまったようで、それが漏れの原因になっていました。



●水周り
 
 ラジエーターはサイドのステーが外れていたので修理して、内部を清掃、外観は再塗装しました。


 
 クーリングファンも綺麗に清掃・・・ここまでの白さにするには苦労させられました。車体に装着します。今回はG系エンジン定番のデスビハウジングからのオイル漏れでネチョネチョになって破裂するヒーター関連からインマニ〜スロットルボディ間などの細かいホースまで新品に交換しました。

 
 製作したサクションパイプを装着、エンジンハーネスを這わせて、残るはホースバンドを取り付けるのみ。エンジンルームの作業としてはこれで終わりです。元のエンジンルームとは完全に別世界です。

●足まわり
 
 ナックルも最悪です。右画像の真ん中にある汚物がナックルシールですが、溶けてドロドロ・・・残りのシールは球面にビッチリとこびり付いていました。


 
 球面のネトネトをきちんと清掃して、シールとパットを交換。これらは常時在庫品です。ロングシャックルを組んで改悪状態だったので、シャックルを純正に戻しました。

●マフラー

 マフラーはMRSというメーカーの50.8Φのものを採用しました。ジムニーJA11用ですが、G16Aの排気量からいくとこの位の太さが丁度良かろうと思い50Φのマフラーを探しました。サイレンサーが砲弾とか、大径のものが多く、中々納得のいくものが見つかりませんでしたが、作りも丁寧で良い製品に出会えたと思います。


 つづく。